2020-03-07

12年後に起きたフローリング破損の原因は、なんと引き渡し前の床鳴り対策工事!施工不良フローリングのトラブル&張り替え

今回の工事は、大手ハウスメーカーで12年前に建てられた住まいのフローリング張り替えです。

隆勝工務店が事務所を構える地域の方からのご紹介で、依頼主I様のご相談をお聞かせいただく運びとなりました。

張り替えを希望された理由は、家中のフローリング材が、ボロボロと剥がれ始めていたためです。12年経っているため、劣化の問題かと思いきや、拝見してみると、まったくそうではないことが判明しました。

本件も、業者による施工ミスと断定できる内容です。

実際の破損は下記のようなものでした。このような剥がれが、各所のフローリングで発生していたのです。

フローリング剥がれの発生原因は?

こちらのお住まいは、完工直後から「ギシギシ」と床が鳴っていたとのことで、I様が入居する直前に、施工したハウスメーカーが床鳴り対策工事をされたそうです。

弊社でフローリング材を検分したところで判明したのですが、その対策工事というのは「フローリングのサネを切断する」というものでした。

ちょっと分かりづらいでしょうか? フローリングは側面に凹凸があり、それを組み合わせて固定していくものなのですが、その合体した凹凸の溝にノコギリを入れて切断していった、ということです。

確かにその凹凸は床鳴りの原因になる箇所ではありますが、ノコギリで切断してしまうようなやり方は、対策工事としてはあり得ません。

また、サネ(凹凸)で固定させるはずのフローリング材なのに、その部分を切断してしまっているわけですから、そのままでは固定できません。その他には木工用ボンドを塗りつけているという状況でした。悪いわけではなく塗布の仕方が良くなかったのです。木工用ボンドは乾くとカチカチになってしまうため、むしろ床鳴りを増長させる原因にもなります。

その際、ノコギリがフローリングの角を傷つけていた証拠の写真が下記です。

さすがにちょっとひどいかな…、という印象です。

いずれにしても、このようなかたちで新築入居前にフローリングに刃物を入れられており、その際の傷が原因で、フローリング材の耐久力が大幅に落ちてしまったのは明らかです。

念のため、このフローリングを開発したメーカーにも確認し、検分に来てもらいましたが、「製品の劣化ではなく施工に問題がある」という診断をしてもらいました。

その結果をハウスメーカーに報告したところ、無償工事にしていただけたのですが、残念ながらメーカーからお施主様への謝罪はありませんでした。

また、よくよくお話を聞いていくと、こちらはいわゆる決算物件だったそうで、「決算期だから」ということでかなり急いで着工されたとのこと。

お施主さまは「ゆっくりと丁寧に建ててほしい」と依頼していたにもかかわらず、要望を出した地ならし(地面を休めること)もなく、建てた当初から違和感のある家づくりになってしまったようでした。

工事、その他のこと

こちらの張り替え工事は、フローリング材を剥がして・張りつけて…を繰り返し、実質12日程度で作業を完了させています。I様邸は二世帯住宅でしたので、フローリングの面積もかなりのもの。なかなか骨の折れるお仕事でした。

床張り替えのようなリフォームは、配置されている大物家具などを移動しながら行うので、慣れていないと難しい部分があります。隆勝工務店は、新築と同じくらいの分量のリフォームを施工しているため、関わる隆勝の職人たちも慣れたものです。また、実際にお客さまが住みながら行う作業なので、そこも気遣いや信頼関係が必要になります。住まい手さんも、我々がいつまでもガタガタと作業していたら気になってしまいますから、何よりも手際よく、テキパキと進めていかなければならないのです。リフォームは本当は、経験とスキルが求められるお仕事なのです。

ちなみに、今回工事をしてみてあらためて感じたことなのですが、ツーバイフォーの物件は集成材で施工していることが多くその為、収縮が部屋にダイレクトに影響を与えるなあ、ということでした。作り方的に、そういう特性があるのです。ツーバイフォーは金額が安い、ということで一時期かなり流行りましたが、材料の伸縮で壁紙がバリバリに割れてしまったり、床に傾きが出てしまったりということがあるので、そういったデメリットもあるということを知っておかなければなりません。家は、「ただ建てばよい」というわけではないのです。(壁紙の割れを見に来たメーカーの方は「ツーバイフォーはしょうがないですね」とのたまったとか。そういった応対にも、個人的に少し疑問は残ります)

また、ツーバイフォーは、間取りを変えるのも少し難易度が高いです。間取りを変更する際には、「この壁は構造上なくしていい壁なのか?」を判断しなければいけないのですが、現状の構造の計算が分かる図面が必要です。在来工法ならば、構造上の強度を保つ筋交いや面材がどこにあるか分かるのですが、ツーバイフォーですと、一般的に、建てたメーカー以外が手を加えるのは難しくなるのです。

このようなことも、おそらくツーバイフォーを建てられた方々は知らないのではないでしょうか。

家づくりにおける選択権は、本当はお施主さまにあります。構造や構法、素材などは多岐に渡りますし、金額もピンキリです。それらにはメリットもデメリットもあるものですから、我々施工業者は正直にそれらを伝えなければいけないはずなのです。いいことだけ言って、丸く収まることはないのですから。お客さまと長い付き合いをしようと思ったら、そういう姿勢を貫く必要があると考えています。

終わりに

今回の工事では、奥さまが「また新築の家に入ったみたい!」と喜ばれているのが嬉しかったです。ご主人からも、「次からは家のことは隆勝さんに相談する!」と仰っていただきました。

「今後は家のことをもう少し意識して、メンテナンスなどにも気を遣っていきたい」という前向きなお言葉もあり、我々の仕事が、住まい手のみなさまによい影響を与えることができているなら、それは本当にありがたいことだと感じている次第です。

リフォームやメンテナンスがどれだけ大切か、ということを伝えて欲しいとのご意向があり、そういうことで悩んでいる方に届くといいよね、ということで掲載をご許可いただきました。

家を建ててくれたハウスメーカーや工務店さんと疎遠になってしまって、自宅の修繕や相談を誰にしたらいいか分からない…という方もかなりの数、いらっしゃるのではないかと思います。

もしお困りごとがありましたら、隆勝工務店にお声かけくださいね。

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